背景
マトリクス表をさっと作れると、観点洗い出しやレビューアになった場合の指摘にとても有効だと思った。
エンジニア出身だと馴染みがあるが、非エンジニア出身者には馴染みがないようなので手順やコツを明文化することでパッとマトリクスで考えられるようにしたい。
マトリクスで考えるプロセスで下記のようなメリットがある。
- 網羅的な結果を知ることができる。
- そもそも知りたかったことがずれてたりして、明確化ができる。
- 言語化ができる。
この型で何ができるようになるか
マトリクス表を作るときのガイドラインになる。
この型が具体的にどのような人、場面に役立ちそうか
- マトリクスを作ることに抵抗がある人
- マトリクスを作るときにどこから手を付けていいか分からない人
- 考慮漏れや検討漏れが多い人
- 「網羅的」の意味が理解あいまいな人
型
- マトリクスによって確認したい要素を「結果」と呼ぶことにする
- 検証項目が分岐する要素を「分岐項目」と呼ぶことにする
- 境界値の考え方が参考になる
https://service.shiftinc.jp/column/4792/
- 境界値の考え方が参考になる
結果が2択のシンプルな例
飲食店の予約可否パターンを洗い出したい
マトリクスで網羅したい結果をまず書き出し、知りたいことを明確にする。 ここでは「予約可否」を洗い出したいとする。
予約可否 |
---|
可能 |
不可 |
分岐項目を結果列の左列に1つ書き出し、ありなしを埋める。 分岐項目を洗い出す際、結果の列は空欄でOK。最後に埋めていく。
空席の有無 | 予約可否 |
---|---|
あり | |
なし |
もう一つ思いついた分岐項目を更に1つ左列に書き出し、パターン分の行を足す。
予約可能数の残り | 空席の有無 | 予約可否 |
---|---|---|
0 | あり | |
なし | ||
1以上 | あり | |
なし |
パターンごとに、結果を一行ずつ入力していく
予約可能数の残り | 空席の有無 | 予約可否 |
---|---|---|
0 | あり | 不可 |
なし | 不可 | |
1以上 | あり | 可能 |
なし | 不可 |
結果が3択以上のやや複雑な例
発生した障害の対応分類パターンを洗い出したい
マトリクスで網羅したい結果をまず書き出し、知りたいことを明確にする。 ここでは「発生した障害の対応分類パターン」を洗い出したいとする。
障害発生後の対応 |
---|
すぐに対応 |
対応候補リストに追加 |
何もしない |
思いつく分岐項目を書き出す
- 自プロダクト起因 or 他プロダクト起因
- システム起因 or 運用起因
- 業務影響度合い
マトリクスの左に1列追加し、行を増やしていく
業務影響度合い | 発生起因 | 発生プロダクト | 障害発生後の対応 |
---|---|---|---|
大 | システム | 自プロダクト | |
他プロダクト | |||
運用 | 自プロダクト | ||
他プロダクト | |||
中 | システム | 自プロダクト | |
他プロダクト | |||
運用 | 自プロダクト | ||
他プロダクト | |||
小 | システム | 自プロダクト | |
他プロダクト | |||
運用 | 自プロダクト | ||
他プロダクト |
列の抽象度を見直し、発生プロダクト>発生起因>業務影響度合いに組み替える 考え方は、ロジックツリーを使って言葉の粒度を揃えること。
発生プロダクト | 発生起因 | 業務影響度合い | 障害発生後の対応 |
---|---|---|---|
自プロダクト | システム | 大 | |
中 | |||
小 | |||
運用 | 大 | ||
中 | |||
小 | |||
他プロダクト | システム | 大 | |
中 | |||
小 | |||
運用 | 大 | ||
中 | |||
小 |
行ごとに結果列を埋めていく
発生プロダクト | 発生起因 | 業務影響度合い | 障害発生後の対応 |
---|---|---|---|
自プロダクト | システム | 大 | すぐに対応 |
中 | すぐに対応 | ||
小 | 対応候補リストに追加 | ||
運用 | 大 | すぐに対応 | |
中 | 対応候補リストに追加 | ||
小 | なにもしない | ||
他プロダクト | システム | 大 | すぐに対応 |
中 | 対応候補リストに追加 | ||
小 | なにもしない | ||
運用 | 大 | すぐに対応 | |
中 | なにもしない | ||
小 | なにもしない |
コツ
- 前提条件の強度として強い分岐項目順に左から並べると良い
- 分岐項目の並び替えは結果を入力している最中に変えてもよい
- 分岐項目が新しく登場したら迷いなく列を追加する
- 省略せず全パターンの表を作ってあとからまとめたり削ったりする
- 重複などで不要な行は物理削除ではなくグレーアウトで残しておく