業務フロー作成の型

業務フロー作成の型

背景

抜け漏れのない業務フローを作成できるようになるため。  どんな案件にも背景に業務が存在しており、実際の業務軸で質の高い(現状の運用と打ち手に乖離がない)意志決定ができるようにするため。

この型で何ができるようになるか

  • 業務を理解することができる
    • 検討漏れが減らすことできる
    • 業務ベースで検討できるため、全体最適の要件検討ができる
  • 可視化することで属人性を下げることができる

この型が具体的にどのような人、場面に役立ちそうか

  • 業務改善をしたい人
  • 業務の理解を深めいたい人
  • 自身が担当した案件で、開発の後半/テストフェーズに検討漏れがよく発生してしまう人

業務フローが必要な理由

組織や企業の運営において効率性、透明性、品質向上など多くの利点を提供するからです。以下はその主な理由です:

  1. 効率向上: 業務フローは、タスクやプロセスを段階的に整理し、最適な手順を定義するためのツールです。これにより、業務プロセスの効率が向上し、時間とリソースの浪費を最小限に抑えることができます。
  2. 透明性と一貫性: 業務フローは、各ステップや担当者、役割、責任を明確に示すことができます。これにより、プロセスの透明性が向上し、誰でもその進行状況や貢献度を理解できます。一貫性も確保され、品質向上につながります。
  3. ミスの削減: 業務フローは、ヒューマンエラーを減少させるのに役立ちます。明確な手順に従って作業することで、ミスや過ちを最小限に抑えることができます。
  4. 責任の割り当て: 業務フローは、各タスクやアクティビティに責任を割り当てるのに役立ちます。誰が何を担当すべきかが明確になるため、組織内のコラボレーションがスムーズに行われます。
  5. 監視と改善: 業務フローにより、プロセス全体を監視し、ボトルネックや問題を特定しやすくなります。改善の余地を見つけ、プロセスを最適化するための情報を提供します。
  6. トレーニングと教育: 新しい従業員やチームメンバーに業務フローを提供することで、トレーニングと教育が容易になります。彼らはプロセスを理解し、効果的に業務を遂行することができます。
  7. 法的および規制要件の遵守: 一部の業務は法的要件や規制に従う必要があります。業務フローは、これらの要求を満たすために必要なステップを含め、遵守を保証する役割を果たします。
  8. 組織の成長とスケーラビリティ: 業務フローは、組織が成長するにつれて新しいプロセスや部門を迅速に統合するのに役立ちます。新たなステップやタスクを追加し、効率的に拡大することが可能です。

総合的に、業務フローは組織の運営を合理化し、効率的な業務遂行を支援し、品質を向上させる重要なツールです。

業務フローを作る手順

  1. 業務フローを作成する目的を明確にする
  2. 情報収集
    1. 記載する部門と担当者を明確にする
    2. タスク(作業)を洗い出す
    3. タスクの分類
    4. タスクを時系列で並べかえる
  3. 業務フロー作成

参考サイト

https://qualityroom.jp/businessflow-brog2/#i-3

作業手順

大手バーガー店をベースに業務フローを作ってみよう!

※すべて想像の話です

ステップ1 作成する目的を決める

■現在の状況

大手バーガー本店に複数店舗で下記クレームが発生している。

「注文した商品とは異なる商品を渡されました!どうしてくれるの?」

バーガー本店で調査したところ、注文ミスではなく出来上がった商品を渡す相手を間違えてしまっている事象があることが分かりました。

■課題/業務フローの目的

課題:出来上がった商品を違うカスタマーに渡してしまう
目的:商品の渡し間違えをなくす

ステップ2 情報収集

  • 記載する部門と担当者を明確にする
  • タスクの分類

どんな人が介在して、その人たちがどんなことをするのか整理してみよう

ポイント

業務→業務で登場するアクターが変わるものは、業務を他動詞で記述するようにしましょう。
他動詞で表現している業務の場合、他アクターへつながる業務になることが多いです。
一方で自動詞の場合は、アクターは変わらず継続して同一アクター業務が継続することが多い。

参考:アクションは次のタスクにバトンを渡すイメージで、他動詞で書く。そうしてつながっていきゴールまでいきついたフローはクリティカルパスと呼べる。この考え方で書いていった結果、行き止まりのタスクはクリティカルパスではない。

ここでは商品注文~注文受け取りまでのタスクを洗っていくよ

アクター業務備考
マック店員レジを打つ
マック店員料金を提示する
マック店員会計する
マック店員レシート(呼び出し番号付き)を渡す
マック店員調理をする調理と一言で言っても、ポテトやハンバーガーなどいくつものある。
今回はカスタマーの来店から帰宅までの業務フローの作成を主目的としているため、細かすぎる情報は割愛する。(洗い出すだけであればOK。洗い出した後に業務フロー作成の目的と照らし合わせ、業務フローに記述するべき粒度になっているかを考えながら作成すること)
マック店員商品をつめる
マック店員呼び出し番号を読み上げる
マック店員呼び出し番号と渡す商品の番号を照合する
マック店員商品を渡す(レジ前渡し)
マック店員商品を渡す(ドライブスルー)
カスタマー来店する
カスタマー注文をする(口頭)
カスタマー注文をする(モバイルオーダー)
カスタマー支払いをする
カスタマーレシート(呼び出し番号付き)を受け取る
カスタマー呼び出し番号を確認する
カスタマー呼び出し番号をマック店員に見せる
カスタマー商品を受け取る
カスタマー店内で食事する
カスタマー帰宅する

ステップ2の情報収集の中で、課題としている商品渡しにはレジ前で渡すパターンと、ドライブスルーで渡す2種類の業務があることが分かる。

補足1
誤って商品を渡してしまう課題が、レジ前で渡す時なのか、ドライブスルーなのか、もしくはどちらも、なのかが明確になっていない場合は、業務フロー作成とは別軸でちゃんと課題整理をしましょう。
もしどちらにも課題があるのであれば、同一事象による課題なのか、別事象による課題なのかを明確にしていきましょう。

補足2
業務フローを作成する場合は、自身の思い込みや考えだけではなく、その業務を行っている人、詳しい人に課題と目的を伝え、業務の詳細をヒアリングをするようにしてください。(今回は例なのでヒアリングは割愛)

  • 記載する部門と担当者を明確にする

洗い出しと分類わけが完了したら、ざっくりと時系列で並び替える。

※レジ前で商品を渡すときに限定

■通常オーダーの場合

業務順序アクター業務備考
1カスタマー来店する
2カスタマー注文をする(口頭)
3マック店員レジを打つ
4マック店員料金を提示する
5カスタマー支払いをする
6マック店員会計する
7マック店員レシート(呼び出し番号付き)を渡す
8カスタマーレシート(呼び出し番号付き)を受け取る
9マック店員調理をする
10マック店員商品をつめる
11マック店員呼び出し番号を読み上げる
12カスタマー呼び出し番号を確認する
13カスタマー呼び出し番号を店員に見せる
14マック店員呼び出し番号と渡す商品の番号を照合する
15マック店員商品を渡す(レジ前渡し)
16カスタマー商品を受け取る
17カスタマー帰宅する

■モバイルオーダーの場合

業務順序アクター業務備考
1カスタマー注文をする(モバイルオーダー)
2カスタマー来店する
3マック店員調理をする
4マック店員商品をつめる
5マック店員呼び出し番号を読み上げる
6カスタマー呼び出し番号を確認する
7カスタマー呼び出し番号を店員に見せる
8マック店員呼び出し番号と渡す商品の番号を照合する
9マック店員商品を渡す(レジ前渡し)
10カスタマー商品を受け取る
11カスタマー帰宅する

ステップ3 業務フロー作成

【前提】
業務フローの図の表記方法のルールは下記サイトを参考に書き方を確認してください。
https://asana.com/ja/resources/what-is-a-flowchart

以上で業務フローサンプルの作成完了です!

今回はアクターが2人(カスタマーとマック店員)しかいないパターンで作成したため、非常にシンプルな業務フローになっていますが、実際の業務フローを作成する場合は追加で複数のシステムが絡んでくることが多いと思うので、アクターとそのアクターのタスクの洗い出しを徹底的にやって、抜け漏れのない業務フローを作成して業務整理 or 業務改善していきましょう。